「アイスブレイク」する?しない?会話ネタどうしてる?
営業研修で、商談の最初には、必ずアイスブレイクを行って、お客さまとの距離感を縮めて商談に入りましょう・・・と教えられてきたと思います。
最近は、コロナの影響もあり、オンラインでの商談も当たり前になってきました。
また、仕事のスピード・効率化も昔以上に求められる時代になっているので、雑談で長々と話をする事も少なくなっています。
このような環境の中、アイスブレイクについても必要な時、不要な時と使い分ける必要があります。
この記事では、アイスブレイクの要・不要な時、必要な時の会話ネタの探し方をご紹介します。
事前に調べる会話ネタ(3選)
お客さまの情報の集め方ですが、今は、ほとんどの企業がホームページを持っていると思うので、まずはホームページで確認しましょう。
お客様のホームページで以下の内容を確認しよう
- ニュース(プレスリリース)
- 社長のあいさつ
- 経営方針
- 本社・国内拠点、海外拠点の所在地
- ISO等の認証資格の保有(ISOXXXX、JISXXXX等)
- 取引先企業 等・・・
まず、このような事を話題にすれば、お客さまは、「当社に興味を持ってくれているな」という印象を持ってもらえることできます。
また、ニュースなどに最近情報があれば、話題に広がりが生まれるでしょう。
例えば、ニュース欄に「カンボジアの小学校開校記念式典に、社長と以下3名がボランティアとして1週間参加しました」という記事があれば、わかる範囲で、どんなボランティアなのか調べて、質問してみます。
ホームページのニュースで、カンボジアのボランティアの記事を拝見したのですが、XXXXな事をやられていたんですね。
他にも、何かされている事はあるんですか?
他には「認証資格」と「拠点」などです。
例えば、ISO14001(環境マネジメントシステム)を取得されている企業であれば、こんな質問を考えてみてください。
1.環境マネジメント取得されていますが、どんな事に取り組まれているんですか?
2.最近、CO2削減とか言われていますが、御社では、何か取り組みされているんですか?
また、地震や台風などの災害が発生した時、お客さまの拠点に影響は出ていないか
、世界情勢の影響でお客さま海外拠点に何か問題は出ていないかなどの質問ができると思います。
ホームページに記載されている取引先の名前をネットで検索して、何か新しい情報はないか調べます。
例えば、XXXの認証資格を取得したとか、XXXという新技術を開発したとかなどになります。
お客さまの業界や法律改正に関する情報を集めよう
お客さまの業界動向について調査し、時事的なニュースの話題などないか調べておきましょう。
業界動向の中には法改正への対応などの記事もあるので、併せて確認しておきましょう。
ただし、同業種でない限り、業界の知識はお客さまの方が高いと思いますので、
知った知識を自慢げに話しするのではなく、「お客さまの為にお役に立てるヒントがないか調べてみた」という感じで臨めばいいと思います。
例えば、業界での取り組みが変わったら・・・
最近、御社の業界では、CO2削減に取り組むための対応方法という事が話題になっていましたが、あれって御社にも何か影響あったりしたんですか?
あ~、あの方針のせいで、社内で新しく管理する項目が増えて、かなり忙しくなってしまいましたよ
そうですか、ちなみに、どんな管理項目が増えたんですか?
例えば、お客さまの主要材料が、海外情勢の影響で値上がりしたら・・・
新聞でみたのですが、鉄の価格が凄い上がってますよねー
そうなんですよ、異常な上がり方で、でも、うちは上がる前に、かなり仕入れていたので当分大丈夫だと思いますよ
そうなんですか、どうやって、事前に上がるって予測されてたんですか?
例えば、道路交通法改正で、アルコール検査が義務付けされたら・・・
白ナンバーの車もアルコールチェックが義務化されましたが、御社は、どのような対応をされているのですか?
いやー、うちは、まだ殆ど手書きで対応してますよ、なのでかなり手間がかかってましてねー、来年ぐらいから、少しでも楽にできるようにシステムの導入を検討していく予定です。
日本経済新聞からネタを探そう
個人的には、事前情報の収集の中では、鉄板ネタの確立が1番高いと思います。
多くの会社は、日経新聞と自分の業界の業界新聞を取っていると思います。
また、個人でも、日経新聞を紙媒体とか、アプリで通勤中などに読まれる方も多いと思います。
ですので、お客さまと共通の情報を持つという意味では、1番確率が高いと思います、特に、役職が上がれば上がるほど、確率も高くなると思います。
記事内容としては、お客さまの業界に関する記事があればベストですが、1面なんかに記載されている記事は、皆さん目を通すと思うので、共通情報として、会話が成立可能性が高いと思います。
訪問する日の、過去1週間分くらいの記事をぱっと読んで、気になる記事をピックアップして内容を確認しておいてください。
会話のネタ探しだけではなく、お会いするお客さまの興味・関心についても仮説を立てて、商談準備の1つとして考えた上で、訪問することをお勧めします。
会話ネタを使わないテクニック
これは、会った瞬間に判断して使うテクニックです。
新人・若手の方が、面談相手とかなり年齢差があるなと感じた場合(面談者の見た目の個人差はあると思いますが、おおよそ40才以上かなと感じれば)、自分に正直になって話をしましょう。
まず・・・
すみません、実は、まだ、この仕事に慣れていなくて、かなり緊張しています。
一生懸命頑張りますので何かお気づきの点や至らない点があればご指摘ください。
と話します。
この場合も、お客さまが優位な立場で会話ができる状況を作る事ができます。
ですので、お客さまも、リラッツクスして、気持ちよく話せる状況になります。
あわよくば、この人一生懸命そうだから協力してあげようかなとか思ってくれます。
これで、お客さまと同時に、自分の緊張も少しほぐれると思います。
また、「ご指摘ください」と言っているので、きちんとヒアリングしないと聞けない事や、アドバイス・フィードバックも頂ける事があります。
新人・若手お方には、使いやすいテクニックですので、是非覚えておいてください。
オンライン商談時のアイスブレイク
オンライン商談では地域ネタやオフィス・名刺などの会話はできません。
基本的にはこの3つを中心に会話を始める事が多いです。
- お客さまのビジネスや業界の事
- お客さまの情報発信(ホームページ等)の内容
- お客さま地域の話(時に地域が離れている場合1番聞きやすい)
オンライン商談で、特に相手が遠方の場合など有効だと思います。
例えば、季節が3月頃だとしたら・・・
〇〇市は今日は少し暖かいようですね。もうそろそろコートが不要になる感じでしょうか?
こちらはまだ気温が上がらず、コートを着て出社しました。
ただ、オンライン商談は、開始時間と終了時間が決まっているケースが殆どで、訪問商談のように、多少時間が伸びても大丈夫というケースは少ないです。
また、結構多いのが、会話を始めるタイミングが被ってしまい、お互い会話を止めてしまうケースもあります。
アイスブレイクをするとしても、少しの会話で軽く済ませて、サッサと本題に入っていく方が好ましいと思います。
アイスブレイクは必要ない
ここまで、アイスブレイクの会話ネタを紹介しましが、お客さまによっては、アイスブレイクを求めていない、不要だと感じる場合がある、お客さまもいらっしゃるという事を認識しておきましょう。
お客さまがアイスブレイクを求めていないケースは以下の5つになります。
- 忙しい中で無駄な話をしている時間はない
- 雑談は効率的ではないと思っている
- 雑談が苦手で、早く本題を話して欲しい
- 雑談に興味・関心がわかない
- そもそもつまらない
①忙しい中で無駄な話をしている時間はない
基本的に商談する時間帯は、お客さまの業務時間中になると思います。
ですので、自分の仕事を一旦中断して商談に時間を割いてくれている事になります。
ですので、もしかしたら、お客さまは・・・
1.資料の作成遅れてるから、できるだけ早く終わって、続きをやらないとなぁー
2.今日は予想以上に仕事量が多いから、残業しないといけないかもなー、できれば少しでも早めに切り上げたいなぁー
もし、このような状態で、商談に応じてくれている場合は、お客さまの本心は、「できる限り早く終わりたい」と思うのが当たり前だと思います。
逆の立場であれば、私もそう思います。
営業は、お客さまから、貴重な時間をもらっているという事を常に意識しておく事が大切です。
②雑談が効率的でないと思っている
これは、役職が上の方になればなるほど傾向が強いと思います。
先ほどの、お客さまの仕事が忙しい時と内容は近いですが、役職が上の方だと、さらに商談に充てることができる時間が限られてくるため、必要な情報のみを素早くキャッチしたいと望む傾向があります。
恐らく、「雑談せず、さっさと本題に入って効率よく進めてほしい」という思いが強いと思います。
多分、アポイントを取る際も、会議が結構あって時間調整が難しかったり、月末・月初は無理だとか・・・忙しそうにされている感じが受け取れる事もあります。
ですので、重要な話に的を絞って効率的に進めたほうが好感を得られる可能性が高いと思われるので
今日はお忙しい所、お時間を頂戴し、ありがとうございます、
早速ですが、本題に入らせて頂きます。
このような感じで、手短におこないます、ですのでアイスブレイクは不要です。
③雑談が苦手なお客さまもいる
雑談は営業に役立ちますが、お客さまの中には雑談が苦手な人もいます。
雑談が苦手な人に雑談をさせるのは、自分にとっても相手にとっても気持ちの良いことではありません。
雑談するのが得意でない相手にアイスブレイクを行っても、苦痛を感じさせ、むしろ壁を作ってしまうという、逆効果になってしまう危険もあります。
雑談が苦手そうかな、好きそうでないな、という空気を感じたら、雑談をしないで、さっさと本題に入る方がスムーズに商談が進むと思われます。
これは、私の経験上、個人的な感覚で一概には言えませんが、雑談があまり好きでない、得意でない方の会話の特徴としては、相槌のような返事しかされない方が多い気がします。
例えば…..
今日は、本当に暑いですよね
そうですね
駅前の新しい・ラーメン屋さん行かれました?
いいえ
御社の業界で、新しい技術が発表されてましたね
そうですか、よく知らないです
商談においアイスブレイクや雑談は必須ではありませんので、相手の反応をチェックしながら雑談をするかどうかを判断してください。
④雑談が苦手と思われる相手との雑談方法
色々な会話を投げかけても、相槌程度の返事しか貰えなかった時は会話が盛り上がる事は、ほぼ無く、沈黙が多くなるかと思います。 このように、沈黙が続いた時は、正直に自分の気持ちを伝えるのも有効な手段です
すみません、実は、私、営業なのに、話をするのが得意じゃなくて、沈黙になってしまって困りますよね
と、言うと、お客さまから・・・
私も、あまり話すのは得意じゃなくて、気にしないでください
とか・・・
こちらこそ、上手く返事が返せず、すみませんね
などと、会話してくれる場合もあります。
その後は、
早速、本題に入らせてもらってよろしいでしょうか?
と、繋げましょう。
⑤雑談に興味・関心がわかない
そもそも営業マンが話す雑談に興味・関心がわかないと、お客さまにとってアイスブレイク自体が負担となってしまいます。
お客さまの気持ちを考えた時に、雑談の内容がわからないとか、興味・関心がない場合、それは苦痛になりますよね。
雑談の基本は、お互いの共通情報で、相手が話しやすい、かつ話したい内容を話すです。
初回訪問や訪問回数が少ない場合、まだ、お客さまのことを、あまり知らないため、雑談の内容に当たり外れが出てしまうことも当然あります。
ですので、アイスブレイクとして話題を振ってみて、お客さまの反応がイマイチな時には、早々に切り上げて本題に入ることをおすすめします。
⑥そもそもつまらない
そもそも雑談の話がつまらないと言うケースも多いです。
また、内容だけでなく、話している本人も、商談の流れの1つの作業としてアイスブレイクや雑談をしているだけ、今、私アイスブレイクやってまーす!的な事も結構あります。
これでは、お客さまも冷めてしまいます。
実際、私も、新規の取引先が商談に来られた時・・・
ああ、この営業さん、アイスブレイク始めたなぁー
なんとなく、わかってしまう時があります。
まあ、一生懸命話をされているので聞きますが、返答はほとんどしなかったと思います、本当にどうでもいい雑談が多くて・・・
こんな話をして、うーん、何が言いたいのかなー?
もう少し興味の湧く話をして欲しいなー
・・・と思った事が多いと思います。
私が営業だから、余計に感じるのかもしれませんが・・・
お客さまは、あなただけと商談をしている訳ではありません。
たくさんの営業マンと接しているはずです、ですので、あなたが最初に会話した内容と、他の営業の会話は比較されているという事を意識してください。
アイスブレイクで避けるネタ
アイスブレイクにおすすめのネタを色々とご紹介しましたが、話題の選び方によって相手の感情を害してしまう可能性もあるので気を付けなければなりません。
特に、政治や宗教、芸能、スポーツ、学歴、また何かを批判するネタというのは、意見が分かれるデリケートな話題ですので、親密な関係になっている相手でも避けておくべきです。
宗教や政治の話
宗教や政治の話題は個人の信念や価値観とかかわりが深いため、雑談ネタには向きません。
また、宗教の話題はその習慣に精通していなければ簡単に語れる話題ではないです。
政治の話題も、支持する事柄や主義主張が人によって大きく異なる可能性があるので、避けるべき話題だと考えられます。
お互いの思いをしゃべってしまうと、下手をすると相手と喧嘩になってしまいます。
せっかくアイスブレイクを使って緊張を和ませようと思ったのに、相手と喧嘩してしまっては言語道断です。
どちらにしても緊張を解く話題にはならないので、宗教や政治のネタは避けるようにしましょう。
スポーツ、ブランドや芸能ネタの話
こちらのネタも個人により、好き嫌い、興味のある・なしと捉え方がまちまちです。
例えば、スポーツだと、野球は好きだが、サッカーは知らない
プロ野球でいうと、好きな球団は「広島」で嫌いな球団は「読売」とか
テニス好きの人もいれば、テニスのルールすらわからない人もいます。
ブランドも同じだと思います。
芸能ネタに関しても、興味の有無が分かれます。
例えば、「○○さん、主演男優賞を獲得されましたよね」という話をしても、興味がある人もいれば、芸能人の名前すらわからないという人もいます。
相手が好きなものや興味があるものを先に教えてくれる場合であれば問題ないですが、
恐らく、そのような事は、めったにないと思います。
初対面で、このような話題が、いけるかどうか見極めることは、恐らくできないので、
それであれば、むしろ触れない方が無難だと思います。
アイスブレイクの本番は商談後
最後に私が経験上多いのが、商談が一通り終わって、一息ついてからの雑談(アイスブレイク)の方が、お客さまも私自身もリラックスしていて、会話がはずみ、関係が深くなると感じるケースが多いという事です。
商談が終了して、次回のアポイントや、宿題事項、連絡方法のやり方などをお客さまと確認できた後に、お客さまの方から・・・
1.御社の事務所ってXX線の〇〇駅のすぐ前にあるんですよね
2.IT業界の営業さんって技術の進歩が早いから大変じゃないですか?
3.別の相談も、させてもらってもいいですか?
などと、お話して頂き、そこから会話が弾み、結構長い時間会話が続く事もあります。
「この時が、チャンス!」です。
最初では、あまり聞けなかったお客さまのプライベートな情報や、社内事情などを結構、ズバズバ聞けたりします。
また、これは商談を通して、私に興味を持って頂き、「この営業さんだったら、大丈夫かな、商談を継続してもいいかな、と思って、期待してくれている事だと思います。
さいごに・・・
実際の営業活動の中では、ここはアイスブレイクだ、ここでヒアリングだ、ここは雑談だ、という風に明確に使い分ける事はできません。
ただ、気持ちの中ではっきりしているのは、会話の中で、いかに「ヒアリング」要はお客さまの話をいかに聴けるかという点を意識して会話をしています。
アイスブレイクは必ず最初だけにやるものではなくて、最初・商談中・商談後と、タイミングがあれば、いつ行ってもいいものです。
どのタイミングで、どんな話ができるかは、ネタをどれだけ持っているかによって変わります、ですので、できるだけネタは多く持っておくようにしましょう。
うまくアイスブレイクができるようになるには一定の時間がかかると思います。
最初のアイスブレイクを失敗しても、商談を一生懸命やりきり、商談が終った後に、雑談ができて、会話が弾めば、今日の商談は成功と言えます。
「終わりよければ全てよし」という言葉がるように、最初失敗したからといって落ち込まずに、気持ちを切り替えて商談を進めれば、取り返すことができます。 ぜひアイスブレイクをうまく使って、商談を成功させてください。