2回目以降の商談時に困らない会話術 | 何を話すか、ネタ・コツ・注意点
初回訪問の場合は、別の記事でも紹介しているように、アイスブレイクから始めて、お客さまの緊張感をほぐして、できるだけお客さまに話をしてもらい、ヒアリングを行いましょうと紹介しました。
では、初回訪問以降は、どうかというと、お互い、一応、顔と名前は知っている訳で、「初めまして」ではないので、そこまでアイスブレイクは必要なくなります。
いかに、お客さまと軽く会話をして、スムーズに本題に入れるか、その為には「どんな話題がいいのか」「どんな会話ネタがいいのか」など悩む事があると思います。
本記事では、商談の2回目以降で、お客さまとの最初の会話ネタと、その会話を上手く継続させ、相手と距離を縮めて良好な人間関係を築くコツを具体例を入れてご紹介します。
おすすめ会話ネタ
日本経済新聞やネット・テレビのニュース
1番確実なのは、やはり日経新聞などを読んで、お客さまにとって有益であろう情報を知っておくことです。
最近のニュースであればテレビや新聞などで目にする機会があるはずなので、お客さまの認知度も高くなると思います
その中でも、お客さまの業界に関するニュースであれば、会話にのってきてくれる可能性がさらに高くなります。
ただ、新聞やニュースを読んでも、関係のある記事が見つからない!と思ってしまう事もあると思います。
そんな時は、記事とお客さま自身、もしくは、お客さまの会社と何か関連性が無いかを考えてみましょう。
例えば・・・
〇〇さんは、車で家族とキャンプに行くのが趣味と言ってたなー、ということは、キャンプとか旅行って、これからどうするのかなー?
〇〇さんの会社は、営業車をたくさん持っていたなー、ガソリン代が増える可能性があるから、会社で何か対応をしているのかなー?
このように、想像力を働かせて、少し考えてみると、あまり関係のないニュースが話のネタとして考えられます。
天気・季節の話
天気・季節の話は、非常に気軽に出せる話題の1つです。
「今日は天気が良くて気持ちが良いですね」「雨が続きますね」などの話は、皆が共通して気になっている話題なので、非常に気軽に出せる話題で、話のキャッチボールがしやすいです。
天気・季節の話をするにしても、できれば、お客さまに関連する話題に近づけて会話をしましょう。
日本海側では大雪が降っているみたいですね。御社の事業所は大丈夫ですか?
〇〇さんは花粉症は大丈夫なのですか?
(4月,5月頃・・・)今は新人研修で、お忙しい時期ではないですか?
まだ5月なのに、夏みたいに暑いですね、やっぱり暑い方が御社の事業は忙しくなるんですか?
(お客さまの決算月前後)御社の今期の業績はいかがですか?
このように、お客さまの事業などに関する話題で話をすると、社内事情や会社・業界の情報などを知る事ができます。
このような質問は、全てお客さまの方か詳しい情報なので、お客さまが気軽に会話を進める事ができ、自分からあまり話す必要が少なくんるため、会話が苦手な人でも会話を続けることができます。
笑いを取れる話
雑談で簡単に笑いを生むことができるネタは、自分の失敗談をリアルに話すなど、「かっこ悪い話」をする事です。
但し、これは多少でも、お客さまと信頼関係ができてから使えるネタです。
信頼関係が無いうちから、失敗談などを話すと、信頼できない人と思われる可能性がありますので注意してください。
また、自虐に走りすぎて・・・
昨日、A社様に出す見積書をB社様にメールで送ってしまって、その上金額を間違えてて、結果、夜中まで仕事してまして・・・
このような内容だと、笑えませんし、あなた自身の信頼を下げる可能性があるので避けましょう。
例えば、新入社員が配属される時期であれば・・・
私も新人研修で「新人は笑顔と大きな声で」が大事と教えられたので、心がけて実践していると、先輩から「もう少し小さい声でも大丈夫だから」と言われました。あの時の自分に「少しは空気を読もう!」と言ってやりたいですね(笑)
このように、仕事自体の失敗でなはく、自身の一生懸命頑張った行動での失敗や、プライベートでの失敗などであれば笑いに使えると思います。
会話を継続させるコツ
話の主導権を相手に持たせる
自分から会話のきっかけは作りますが、後は、お客さまに話をさせるように導き、気持ちよく話をしてもらう事で、会話が盛り上がります。
よく間違えるのが、会話が続かず、焦ってしまい、続けなければと思い、自分が次々に話をして、お客さまが聞き手になってしまっている場合です。
まずは、お客さまが主役であるという事を意識し、しっかりとお客さまの話を聞きながら、相槌を打ったり、質問を投げかけてみたりするようにして、「聴く」という事を意識しましょう。
割合としては、お客さま6~7割:自分4~3割くらいが良いとされます、割合はあくまでも感覚ですので、お客さまよりも、自分の話の方が少ないかなと思うくらいで問題ないと思います。
相槌と質問が大事
お客さまとの会話では間が空きすぎるのは、あまりよくありません。
楽しく会話ができてこそ、会話の意味があります。
楽しくない会話に時間を使うのは、お客さまにとっても苦痛です。
会話が続かない理由として、相槌が悪い可能性があります。
会話の中で、相槌を打ちながら傾聴することは、会話におけるもっとも基本的なコツと言えます。
まずは、相手の目もしくは目の周辺を見て相槌をうつようにしましょう。
目を見すぎるのは良くないですが、アイコンタクトをとる事で、こちらも聞いている印象が強くなります。
お客さまに「あなたの話を聞いていますよ」と示すのに最も簡単な方法が「相槌」を打つことです。
ただし、単純に相槌を打てばいいのではなく、お客さまの会話のスピートに合わせて「ゆっくりうなずく、小刻みにうなずく、深くうなずく」などの変化をつけることも大切です。
「なるほど」「そうですね」だけに留めず、話をしっかり聞いた上で自分が感じたことが伝わる言葉を選ぶようにしましょう。
また、例えば相手の話に対して「そうですね」だけ返してしまうと会話が終わってしまう場合が多いです。
プラスひと言付け加え、会話が続くように工夫しましょう。
(例1)
今日は、暑いですね
そうですね
そうですね、こんな日は冷たい物が欲しくなりますね。ビールとか飲まれるんですか?
いやー、新人教育って大変ですよ
そうですよね、色々大変ですよね
そうですよね、ちなみに、大変だと思った所って、どんな所ですか?
共感することは大切ですが、その後に言葉を続けないと話が終わってしまいます。
話を受けたら、相槌を打ち、相手に質問を添えて返すようにして「聞く」事を意識してください。
返答に気を配る
お客さまの話をよく聞き、思った事をす言葉にして返答するのではなく、お客さまが、何が言いたいのか理解した上で返答しましょう。
この前の休みに、家族と旅行に行ってきたんですよ
そうなんですか、私も先日、旅行に行ってました
お客さまは、旅行したことを話したいのに、このようは返答をすると、あなた自身の旅行の話になってしまい、あなたがしゃべり、お客さまが聞き手になってしまいます。
ひと言、質問を付け加えると、こんな感じです。
そうなんですか、ちなみに、どちらの方に行かれたんですか?
最近、近くにできた○〇っていう中華料理に行ってきたんですよ
そうなんですね、中華はお好きなんですか?
これは、回答が「好きか・嫌いか」の2択になってしまい、会話が続きません。
お客さまは、多分、新しい店にいって、何か美味しい物か珍しい料理を食べた事を話したいのでは?と想像し、返答をするようにしましょう。
想像した質問の例として、こんな感じです。
そうなんですね、美味しい料理とか珍しい料理とか、何かありました?
このように、お客さまが、何を話したがっているのかを考えながら返答しましょう。
お客さまの言葉をそのまま質問しよう
お客さまが、何を話したがっているのかを考え、気を配りながら返答しましょうと言いましたが、とっさに、お客さまの考えや思いが分からない時もあると思います。
そんなときは、お客さまが言った言葉を、そのまま質問として返す「バックトラッキング(オウム返し)」というテクニックがあります。
昨日、子供を連れて、キャンプに行ってきたんですよ
そうなんですか、昨日、キャンプに行かれたんですか
このように、お客さまに話したいことを話してもらって会話を盛り上げるテクニックです。
ただし、ただ質問を繰り返すだけではなく、気持ちに同調してお客さまが「自分の事を理解してくれている」と思ってもらわなければなりません。
例えば、上の会話の続きとして
どちらの方に行かれたんですか?
お子さん、楽しいでおられたんじゃないですか?
など、相手の話に対して、少し質問を付け加えれば、会話が弾んでいきます。
1つの話題をできる限り掘り下げよう
最初の会話は、長くても5分以内に収めた方がいいと思います。
目的は、本題に入るまでのウォーミングアップ的な位置づけなので、できる限り、最初の話題を掘り下げていき、会話が一旦落ち着いたら、本題へという流れが理想です。
また、話題を掘り下げていく事で、次の会話ネタを考える必要もなく、沈黙の時間も生まれませんので、会話がスムーズに進みます。
何を聞けばいいか分からない時は、「5W1H」を意識して考えてみましょう。
例えば、先ほどの「昨日、子供を連れて、キャンプに行ってきたんですよ」という話題であれば・・・
など、質問する事は、たくさんあると思います。
注意としては、話を掘り下げていく時には、質問に対して、お客さまの回答を、しっかり聞くことが重要です。
そしてお客さまに質問をするときは、話が続きやすくなるように「はい」と「いいえ」で答えられる限定質問ではなくて、会話が続きやすい拡大質問をすることがおすすめです。
知らないフリをするのも有り
営業経験を積んでいくと、会話の雑談ネタも幅が広がり、色々な知識も身について来ると思います。
悪いケースは、ついつい自分の知っている事を自慢話のように話たり、ウンチクを語り始めたりしてしまうと、場は寒い空気になりがちです。
ですので、お客さまに気持ちよく話してもらうためには、時には、知らないフリも大切です。
例えば、先ほどのキャンプの例で言うと・・・
昨日、子供を連れて、キャンプに行ってきたんですよ
どちらの方に行かれたんですか
実は、初めてグランピングに行ってきたんですよ
そうなんですか、まだグランピング行った事無くて、興味あったんです
どんな感じなんですか、少し詳しく教えて頂けませんか?
仮に、自分が既にグランピングに行った事があったとしても、知らないフリをして、「そうなんですか!もっと知りたいです!」と言った方がよい場面もあります。
もし、会話の中で、自分の知らない事がでてくれば、知らないで終らせるのではなく、チャンスと捉え、知らない事に興味を示して、積極的に質問してください。
会話をする時の注意事項
だらだら話すぎない
雑談で会話を進めていくと、たまに自分の話ばかり延々としてしまう、喋るうちにヒートアップしてしまう事で無駄に話が長くなるケースや、気が付かずに、砕けた話し方になってしまっているという危険性もあります。
ダラダラと長く話を続けていては・・・
仕事がたくさんあるのに・・・
早く本題に入ってくれないかなー
適度な雑談は、関係づくりや営業トークを円滑に進めるために役立ちますが、長すぎる雑談は逆効果になってしまう可能性があるので注意しましょう。
もし、長引いてしまったと感じたら・・・
(時計を見てから)
話し込んでしまいましたが、お時間大丈夫ですか?
などと、相手を気遣い、本題に移るか一旦引くのかを選んで、次のステップに進みましょう。
世間話はいらない
営業時の雑談ネタとして、世間話を思い浮かべる方は多いでしょう。
世間話とは、世の中の一般的な話のことをいいます。
つまり、その中身には大した意味が無い話の事をいいます。
世の中では日常的に話されている世間話ですが、結論から言うと、ビジネスの上での会話には、世間話は必要ありません。
先ほどの、天気の話もそうですが、時間の無駄にしかならないという事になります。
「誰とでも楽しくコミュニケーションできる」というのは良いことですが、お客さまの多くは、仕事中に、仕事と関係ない会話をすることには抵抗を感じます。
なので、お客様がストレスに感じるような「無駄な世間話」は控えることが望ましいです。
お客さまの意見を否定しない
せっかく話しているのに、その話を否定されて嬉しい人はいません。
否定された時点で、その話題は終わりになってしまい、会話が途切れてしまいます。
まず、お客さまの話に対して「頭から否定しない」「反対意見から入らない」ことです。
興味のないことや嫌いなことでも、まずは「肯定・同意」を行い、興味のある所、好きな所、良い所などを見つけて、会話につなげることが必要です。
雑談が必要ない場合もある
アイスブレイク(後編)で、お客さまの中には雑談が苦手な人もいるので、そう感じた場合は、雑談が苦手な方への雑談方法をご紹介しましたが。
また、雑談が苦手でない方でも、雑談を行わない方がいいケースもあります。
一番気にしないといけないケースは、訪問して、部屋に案内された後、担当者の方が、約束の時間を過ぎてもなかなか現れないケースです。
このようなケースの場合、担当者の方に、急な仕事やトラブルが入り、忙しくなっている、前の会議が長引いているなどが考えられます。
このように、担当者の方が、遅れて来られた時、忙しそうな様子であれば、
遅くなり、申し訳ありません
お忙しい所、ありがとうございます、何かお忙しい感じですか?
など、担当者の方の状況を聞いてみましょう。
もし、忙しいようであれば、雑談はせず、すぐに本題に入り、できるだけ早く終わらせるように商談を進めましょう。
④雑談から本題を切り出すタイミング
基本編:会話が一旦終わった時
雑談から、急に本題を切り出す訳にもいかず、どのタイミングで本題を切り出せばいいか、タイミングがわからない?という人もいると思います。
もしくは、1つの話題で会話が盛り上がり、その話題が一旦終わった時に、一息ついて、すぐ本題に入りましょう。
切り出し方としては、以下のように・・・
ちょっと話し込んでしまって、すみません。
本日は、前回の宿題について、ご説明資料をお持ちしましたので・・・
というような感じで切り出しましょう。
応用編:会話を切らさず本題へ
ただ、基本編では、話題が急に変わり、一旦、話が途切れてしまいます。
できれば「気づいたら本題に入っていた」というのが理想です。
ただ、この場合は、会話ネタをあらかじめ考えて置いて、お客さまを会話に誘導する必要があります。
例えば、先ほどの例でいうと、貰った宿題が「最近の情報セキュリティ事情について教えて欲しい」という場合、事前にウィルス関連の事件を調べておき、以下のような感じで会話を進めます。
そういえば、最近、感染が広がっているって言われている、〇×△ウィルスですが、御社の方は、大丈夫ですか?
実は、当社のお客さまでも、何社か感染されて、丸1日パソコンが使えず、手作業で業務を行われて大変みたいでした。
で、先般ご相談頂いた、セキュリティ事情ですが、先ほどの〇×△ウィルスの情報も含め、お持ちさせて頂いたので、ご説明させて頂きます。
このような流れで話を進められれば、自然な形で本題に入れます。
慣れない内は、自分の販売する商品に合わせ、本題に入りやすい雑談の話題をいくつかピックアップして、トークスクリプトを作成して、自然に本題へつなげられるように練習してみてください。
まとめ
商談の最初や、途中での雑談は、緊張感をほぐし、場を盛り上げ、会話の中で、提案に役立つ情報を聞くことができ、相手との距離を縮め、信頼関係を築いていく為に役立ちます。
会話が続く・続かないには、日ごろのネタ探しと、やはり、お客さまとの面談回数に応じてスキルも上がっていくと思います。
たまに、面白い話をして「笑い」を取ることが場を盛り上げる事だと思っている営業マンもいますが、笑いを取っても、その後の会話が続かないと意味がありません。
いかに、「お客さまと会話を続けれるか」を意識して、雑談で場を温めてスムーズに商談に移れるようにしましょう。