トリビア

見積書どう作る?どう見せる? | 金額・内容・提示方法

ろくまる

恐らく、見積書を作成しない営業はいないと思います。

見積書提示は、営業の最終プロセス、クロージングに向けての重要なポイントになります。

もちろん営業のトークも大事ですが、いくらトークが上手くできても、見積金額や見積内容について、お客さまに納得してもらえなければ、折角の努力も無駄になってしいます。

では、どんな見積書を作って持っていけばいいのか、お客さまに見積書をどう提示すればいいのかご紹介します。

営業にとって、大変重要なポイントになりますので是非最後までお読みください。

見積書の重要性について

まず、見積書について何が大事かという事をお伝えしたいと思います。

お客さまに、すばらしい提案が行え、商品・サービスについても魅力を感じて貰えたとしても、最終的に、購入するか・しないかの大きな判断基準として見積があります。

当然、お金だけじゃないよという企業もあるでしょうが、見積が全く関係ないかというと、そういうわけではありません。

多くの企業は、投資を検討する際、大枠の金額を予算として確保しています。

提示された見積金額が、概ね予算の中で収まり、かつ投資対効果が見込めると判断できれば購入の対象になります。

このような判断基準の元になる、見積書は凄く大事なものです。

見積書内容は丁寧に

商品・サービスには、基本価格+オプション価格とか、サポート期間延長だと+αなど、色々な組み合わせがると思います。

見積書を作成するまでに、恐らくヒアリングは行っていると思いますので、お客さまが求めている商品・サービスの組み合わせパターンを作成し、お客さまに、どの組合せで、いくらぐらいかかるのかを判断して頂けるように作成しましょう。

営業としてお客さまに、このパターンだと、いくら費用がかかる」という事を明確に伝える必要があります。

ですので、お客さまに対して、どの項目でいくらかかるのか、どの組み合わせでいくらになるのかを、わかりやすく、簡潔に、ニーズに合わせた内容で記載しないと、判断ができません。

お客さまに、判断基準をきちんと伝える事が重要になります。

見積金額は定価?高め?低め?

みなさん、見積を作成する時の金額は、定価?高め?低め?どうされてますか?

お客さまは、まずは、見積金額が投資予算の範囲である程度収まるかどうかを判断します。

個人的には、高めの見積を設定することをオススメします。

理由としては、提示した見積金額から、商談が進む中で金額が下がるのは問題ありませんが、もし金額が膨れてしまい、予算枠を大幅にオーバーしてしまうと、商談自体が止まってしまう可能性があるからです。

そうすると、お客さまも、あなた自身もこれまでかけてきた時間が全て無駄になってしまうからです。
さらに、営業としては、見込んでいた数字が無くなるという悲しい事も起こります。

金額が変動しやすい商品・サービスを取り扱っている場合は、できるだけリスクを見て見積金額を決めることをオススメします。

見積金額は「4・8・9」

見積書を作る際には、税抜き金額のきりのいい桁数に、「4・8・9」の数字になるように意識するとお客さまに与える印象が変ります。

サイゼリヤ創業者の正垣泰彦氏の本『サイゼリヤおいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ』に書かれている、

「メニューの価格を見直す際、350円よりも340円は安いという印象を受けるが、それを330円320円まで引き下げても、消費者が受けるインパクトは340円と比べそれほど変わらない

また「人が受ける心理的なインパクトは、割引額だけでは決まらないと

という内容が書かれています。

これは、あくまでも消費者向けの心理ですが、企業の決裁者もあくまでも人(消費者)です。実際の所、どこまで心理的に優位になるかはわかりませんが、

他社より少しでも優位に立てる可能性のある事は実行してみるの精神で、金額の端数を意識して作成していきましょう。

「4・8・9」の見積金額例

100,000円 → 98,000円

1,563,000円 → 1,543,000円

通常、見積書は1社ではなく複数社から取ると思います。
例えば、下のように出てきた「A社・B社」の見積金額は、どうでしょうか?

A社とB社の見積比較

A社: 152.000円(税抜)
B社: 148,000円(税抜)

A社が「152,000円」、B社が「148,000円」と、差額は4,000円ですが、4,000円以上のインパクトを感じないでしょうか?

見積金額の端数残し

通常は、見積を提出して、通常は、その金額で契約となると思いますが、
たまに、最後に・・・

お客さま
お客さま

気持ち値引きをしてもらえませんか?

お客さま
お客さま

最後に、端数をきれいにしてくれない?

このような、最終決裁の前に、値引きの要望を受ける事があります。

例えば、「189,800円」で見積提示した場合、「189,000円」や「185,000円」などにならないかなどです。

これは、企業文化や業界の商習慣などによって違いがあると思います。
最近は、かなり減った感じはありますが、まだ年数回、値引きを交渉される事があります。

お客さまと良好な関係を保つためにも、値引き交渉された時には、できる範囲で対応した方がいいと思います。

なので、最初から気を利かせて、端数をきれいにして見積を出してしまうと、大きい桁で切り捨てしてと言われるケースもありますので、端数は、そのまま残して見積を作成しましょう

ただし、値引きは1度切り、値引きをしたら必ず注文してくれる事を確約してもらってから行いましょう。

過去の経験で、値引きをした見積を出したら、他社にその見積を見せて、さらに値引きをさせ、結果、他社で決まるという、いわゆる「あて馬」にされた事もあります。

ろくまる
ろくまる

ビジネスは信頼関係で成り立っていますが、たまに、こういうお客さまもいるという事を認識しておいてください。

出精値引きは使わない

見積書に 値引きを実施する場合、通常「出精値引き」という表現を使う方がいらっしゃいます。

出精値引きの意味
  • 具体的な根拠は示さない値引き
  • 慣行的、儀礼的に行なう値引き
  • 普通はしないが、あなたのために頑張って値引きしました

ですので、悪い言い方をすると根拠の無いいいかげんな値引きという意味になります。

1つの商品・サービスだけの見積書であれば、「出精値引」を記載しても問題ないと思いますが、複数の商品・サービスの見積書には「出精値引」という項目を記入するのは、できれば避けましょう

「出精値引」の表現がダメ3つの理由

①出精値引きの表現がダメ

見積書の内容で契約書を取り交わす様な場合に、出精値引という項目があると業者に対して価格の押し付けと見られ、値引きの扱いは不適切と見られるケースがあり、お客さま側からNGが出る場合があります。

②実際の金額がわからない

見積書(A)の場合、出精値引▲3,000円は、商品A,B,Cのどの商品からいくら値引きしているのかわからない為、実際どの商品がいくらなのか把握できません

見積書(B)の場合、各商品毎に単価や経費などで調整をした金額で、各項目で記載されているので、各項目毎にいくらなのか、お客さまもわかり、営業も各項目で利益の管理ができます

③購買担当の人が交渉力が無いと思われる事が嫌

これは、企業・人により異なりますが、見積書に「出精値引」と記載されていると、最初の見積時点では、購買担当者は、業者の言い値で見積をもらい、価格交渉をしていなかったと思われるケースがある事です。

あくまで、最初も価格交渉を行い、さらに交渉を行った結果として、より価格を下げる事ができたように見せる必要があるからです。

お客さまにより色々なケースがあるので、見積書を作成する前に、お客さまと、記載内容を確認した上で作成するのが1番だと思います。

見積書は1or複数パターン?

みなさんは、見積書を作成するのは1パターンですか?
それとも、何パターンか作成して持って行きますか?

これは、性格や、やり方によりマチマチな所ではあると思います。

見積は1つ、1番自信のある見積を持っていく」という1発勝負型の人もいます。

確かに「お勧めは、これです!」と言ってバチッと決まれば、これほど営業として充実感を感じられる事はないと思います。

私は、どちらかというと、慎重派でしたので、外した時のリスクを考えて、できるだけ複数パターンの見積を作るようにしていました。

複数パターンのメリツト

どんな商談でも毎回見積書を複数パターン作るのは、手間もかかり営業効率は悪くなります。
商談内容により、複数パターンと1パターンの使い分けをする事をオススメします。

複数パターンの作り方としては、A案、B案、C案・・・と内容・金額が異なる内容で作成します。

ー メリットは3点 ー
  • こちら側の勝手な判断だけ1つに絞るのではなく、お客さまに色々なパターンを伝える事ができ、お客さまに選んで頂ける
  • 複数出すことで、お客さまが、予算枠での金額の組合わせを考えやすくなる
  • 1パターンで出した場合、外してしまうと、その時点でアウトになる可能性が高く、その後のリカバリーも難しい

営業効率も大切ですが、やはり受注確率を高める事が、まず営業の仕事だと思います。

1パターンよりは複数パターンの方が受注確率(受注数÷商談件数)は高くなると思います、1年間の営業活動で考えれば、受注率が高い方が営業効率も高いという判断になると思います。

営業は、結果を求められる職種です、商談件数がいくら多くても受注が少ないと結果を出したとは言えません

1件1件お客さまの事を考えながら大切に商談を進めてください。

パターンは何種類ぐらい?

見積書は複数パターン作る事をオススメしましたが、やはり、自信のある見積(1番お勧めの見積、この見積で受注したい)は、多分1つだと思います。

ですので、あまりパターンを多く作りすぎると、自信のある見積の訴求力が弱くなります、また、お客さまにとっても比較対象が多くなり迷う事にもなります

基本的には「松竹梅」というような、3パターンが1番いいのではないかと思います。

松竹梅の各設定内容としては・・・

営業としてお勧めしたい1番自信のあるプラン

やはり、お客さまの課題に対して解決する為に1番必要なパターンになり、金額も1番高くなると思います。

スタンダード、標準的な金額、松と梅の中間

1番金額が低いリーズナブルなプラン、必要最小限

見積は自信を持って

これは、実際に経験した事ですが・・・
お客さまは、竹プラン(標準)ぐらいの予算と言っていたのに、松プラン(高い)で採用頂いたケース
松プラン(高い)の見積は「高いよなー」と思いなが、開き直って出したら採用頂いケース

このように、自分の想定外で採用頂いたケースは結構ありました。

営業経験はそれなりにある方だと思いますが、お客さまが「松・竹・梅」+αどれを選ばれるか、こればっかりは無責任かもしれませんが、提出してみないとわからないのが本音です。

ろくまる
ろくまる

見積金額が「高いか・安いか」は、あなたが判断するのではありません。お客さまが判断する事です。

あなたのオススメを自信を持って出して下さい。

もし、お客さまから「高いなー」と言われたら・・・

私がお客さまに1番お勧めする見積です、なんで、この見積が高いと思われるんですか?

営業
営業

とまで言えればいいですが、これくらいの気持ちを持って見積を出しましょう。

見積内容を考える

各項目毎に金額を明記する

ダメな例として、色々な項目を纏め、「一式」で記載している見積です。

これでは、お客さまは、どんな項目がいくらなのかわかりません、また、本当に求めている内容が含まれているかも確認できません

お客さまかは、適当な対応をされているのでは?ごまかされているのでは?など、不信感を抱くことになります。

必ず、項目毎、それぞれに対して、金額はいくらと明記した一覧表を資料として作りましょう。

投資計画を作成する

最近では、サブスクリプションの商品・サービスも増えてきています。

見積金額の種類としては、大きく「初期費用」と「月額費用」に分けられると思います。

お客さまには、「初期費用」でいくらかかる、「毎月」いくらかかるという形で、1年間で、これくらいの費用になりますという形で提示しましょう。

また、5年間もしくは7年間では、総額これくらいの支払いになりますというような投資計画資料を作成しましょう。

この投資計画資料は、経営層には、今後の事業計画に影響する、重要な資料になりますので、しっかり作成するようにしましょう。

投資計画の考え方は、お客さまによって異なります、事前に確認して、いかに、お客さまが、やりやすく、導入しやすい形で提案できるかという事を考えていく必要があります。

まとめ

見積書の提示は、商談でヒアリング・提案などのプロセスを経て、クロージングへ向けての重要なポイントになります。

折角、頑張って見積までこぎ着けてきたのですから、見積書を作る際は、できる限りお客さまの状況を考慮して、お客さまに納得頂ける見積書を作成しましょう。頑張ってゴールを目指してください

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